「突然、社員から“辞めたい”と切り出されて驚いた」 「理由は“なんとなくモヤモヤしていて…”と、はっきりしない」
人事や経営者の立場で、こうした経験をされたことはないでしょうか?
実は、離職には“予兆”があります。その兆しに気づき、早期にフォローすることで、社員の離職を未然に防ぐことが
可能です。
本記事では、「辞める前にできること」として注目されている“キャリア面談”の効果と、中小企業でも実践できる導入事例をご紹介します。
離職のサインは「ある日突然」ではない
社員が退職を申し出るとき、多くはこう言います。
「いろいろ考えた結果なんです」 「前から悩んでいたのですが、誰にも相談できなくて…」
つまり、離職の決断は“ある日突然”ではなく、“少しずつ積み重ねられた迷い”の結果であることが多いのです。
- 目標設定や評価面談で発言が減った
- 雑談や報連相の頻度が落ちた
- ちょっとしたミスが増え、集中力がない様子
- 何となく元気がない
こうしたサインに気づけるかどうかが、離職を防ぐ第一歩です。

キャリア面談とは何か?通常の面談との違い
キャリア面談とは、社員一人ひとりが“これからどう働きたいか”を考え、会社側と対話を通して共有する時間のことです。
一般的な評価面談や業務面談と違い、キャリア面談では次のような視点で話します
- 自分の強みや価値観をどう活かしていきたいか
- 今の仕事の中で感じていること(やりがい・不安など)
- 将来の働き方やライフプランに対する希望
社員が「自分の気持ちを素直に話せる場」になることで、会社との信頼関係も強化されます。
キャリア面談を導入する3つの効果
1. 離職予防・エンゲージメント向上
社員が「自分の話を聞いてくれる」「考えてくれている」と感じることで、会社への信頼が生まれます。
それが離職の予防だけでなく、業務への意欲向上にもつながります。
2. 上司・経営者の気づきが深まる
キャリア面談では、普段の業務だけでは見えない“社員の内面”に触れられます。
それにより、配置や育成、人間関係のサポートなど、より的確なマネジメントが可能になります。
3. 組織風土の変化につながる
面談を制度として継続することで、「話せる会社」「人を大切にする会社」という空気が生まれます。
それは新たな採用時にもプラスに働き、定着率の向上につながります。

中小企業でもできるキャリア面談の始め方
「制度化なんて難しい」と感じる中小企業でも、以下のステップで無理なく始められます。
ステップ1:目的を明確にし、社員に説明する
「会社として“個人のキャリア”も大切にしたい」というメッセージをしっかり伝えることが、社員の安心感につながります。
ステップ2:上司ではなく、外部の専門家を活用する
社内だと本音を言いづらいケースも多いため、外部キャリアコンサルタントの活用がおすすめです。
中立的な立場で聴くことで、社員の本音を引き出しやすくなります。
ステップ3:フィードバックを活用し、社内改善へ
面談で得た気づきを経営に活かすことで、制度が“点”ではなく“線”になります。
個人の声から社内全体の課題が見えることもあります。
導入事例:キャリア面談がもたらしたポジティブな変化
ある製造業の中小企業では、40代社員の離職が相次いだことを機に、外部キャリアコンサルタントによる面談を導入。
▼結果:
- 話を聴いてもらったことで、辞める決意を一度保留にしたケースも
- 「自分の未来を考える時間になった」と前向きな声が多数
- 面談内容を受け、社内の配置転換や役割調整が進み、組織の風通しも改善
キャリア面談は、単なる「面談」ではなく、“未来を一緒に考える”組織づくりの一環なのです。
【まとめ】
社員が「辞めたい」と言い出す前に、会社ができることはたくさんあります。 そのひとつが、「キャリア面談」という“対話の場”を持つこと。
キャリアは、企業にとっても個人にとっても「未来の共有」です。 社員が自分の将来に希望を持ち、会社と共に歩めるようになることで、結果的に組織も成長します。
外部キャリアコンサルタントの導入も含め、まずは一歩、踏み出してみませんか?